一番多く聞かれた質問

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「今って、買い時ですか?」
正直に答えます。

20年以上この仕事をしていて、一番多く聞かれた質問がこれです。
「今って買い時ですか?」
今日は、その質問に正直に答えようと思います。

「オリンピック後は下がる」と言い続けた業界の話

2013年に東京オリンピックの開催が決まった頃から、不動産業界には一つの「定説」が広まりました。「オリンピックが終わったら、不動産価格は下がる」というものです。

その根拠というのも、実はそれなりに筋が通っていました。1964年の前回東京オリンピック後に「昭和40年不況」が起きた歴史的記憶。開催決定で急騰した価格がいずれ剥落するという需給論。外国人投資家がオリンピック前後に利益確定で売りに出るという予測。人口減少・少子高齢化という構造問題。さらに2022年には「生産緑地解除問題」まで重なるという話も出ていました。

私自身も、お客様が「オリンピックが終わったら下がりますよね…」と話されているのを何度聞いたか分かりません。同業者の間でも「今のうちに売っておいた方がいい」「オリンピック後まで仕入は控えた方がいい」という言葉が普通に飛び交っていました。

蓋を開けたら、どうなったか。
──価格は下がるどころか、むしろ上がり続けました。

2020年問題を信じてオリンピック後の下落を待った人は、待てば待つほど高くなるという現実に直面することになりました。

なぜ予測は外れたのか

「オリンピックが価格を上げていた」という前提そのものが間違いだったのです。

実際に価格を動かしていたのは、日銀の超低金利・金融緩和政策でした。お金を借りやすい環境が続く限り、不動産への需要は落ちません。オリンピックが終わっても、金融環境は何も変わりませんでした。

さらにオリンピック後には、想定外の追い風が次々と重なります。

要因 価格への影響
新型コロナウイルス(2020年〜) 在宅勤務の普及・おうち時間の増加→住まいへの価値観が変化し、広さ・質への需要が急上昇
ウッドショック(2021年〜) 輸入木材の価格高騰→建築コスト上昇→物件価格に転嫁
ロシア・ウクライナ情勢(2022年〜) 資材・エネルギー価格の全面高騰
円安の進行 外国人投資家に「割安な日本」として映り、海外マネーが流入
建設人材の慢性的不足 人件費の高止まりが続き、建築費が下がらない構造に
都心への人口集中の継続 東京23区の実需が衰えず、空室も出にくい

過去の夏季オリンピック開催都市(アトランタ・シドニー・アテネ・ロンドン)でも、閉会後に住宅価格が下落したケースはゼロだったようです。データもそう言っています。しかし「1964年の記憶」という強烈なイメージが、正しい事実よりも強く語られ続けてしまったのでしょうね。

「コロナで価格は下がる」これも逆だった

予測が外れたのは、オリンピックだけではありません。

2020年、新型コロナウイルスが世界を覆い始めたとき、不動産業界にもまた「下落論」が広がりました。濃厚接触を避けなければならない状況では、物件の案内すらままなりません。「これでは取引が止まる」「景気が悪化すれば価格は下がるはずだ」業界全体がざわついていたことを、今でも鮮明に覚えています。

しかし、結果はまたも逆でした。
コロナは不動産価格を下げるどころか、住まいに対する需要そのものを底上げしました。

在宅勤務が一気に普及したことで、「家にいる時間」が劇的に増えました。狭い部屋での長時間勤務に限界を感じた人たちが、より広く、より快適な住まいを求めて動き始めました。書斎や子ども部屋、庭付きの一戸建て。それまで「あればいい」と思っていた条件が、「なければ困る」に変わったのです。

さらに、感染リスクを意識して都心の賃貸から郊外の持ち家へという動きも加速しました。「在宅でも仕事ができる」という働き方の変化が、住宅購入の心理的ハードルを下げた側面もあります。コロナという「不動産の敵」が、皮肉にも住宅需要の強力な後押しになったのです。

「こんな不景気に、金利が上がるはずがない」という声もよく聞きました

価格の話と同じことが、金利でも起きています。

長い間、日本では「デフレが続く日本に金利上昇はない」という空気がありました。住宅ローンを検討するお客様も、「変動でいい、どうせ上がらないから」と言う方ばかりで、金利上昇を懸念する声は「心配しすぎ」と流される傾向もありました。

ところが、2024年3月に日銀はマイナス金利を解除。
2024年7月・2025年1月と利上げが続き、政策金利は0.75%に。
各メガバンクの変動金利(適用金利)はついに1%前後の水準へ到達しました。

「上がるはずがない」と言われていた変動金利が、実際に上がり始めたのです。

では、これからどうなるのか

メガバンク自身が「今後の金利予測」を公式に発表することはありません。ただ、証券会社やシンクタンクの予測を見ると、方向性はほぼ一致しています。

  • 野村證券2026年6月・12月、2027年6月に各0.25%の利上げ。ターミナルレートは1.50%と予測
  • ソニーFG2026年後半に1.00%、2027年に1.25%へ段階的引き上げの見通し
  • ニッセイ基礎研2026年10月に政策金利が1.00%に到達と予想
  • 三井住友DS AM半年に1回程度のペースで利上げ継続。中立金利レンジ(1.0〜2.5%)に入るのは2027年1月頃

仮にターミナルレートが1.5%(現在の0.75%から+0.75%)に達した場合、変動金利の適用金利は現在の1%前後から1.7〜1.8%程度になる計算です。

もちろん、これらは「予測」であり確定ではありません。米国経済の動向や地政学リスク次第で、シナリオは変わります。ただ「上がらない可能性が高い」という方向には、どの機関も向いていません。

で、結局「今は買い時」なのか

正直に言います。「いつが買い時か」は、誰にも分かりません。
2020年問題もそうでした。金利の話もそうでした。プロが根拠を持って予測した「これから下がる」「金利は上がらない」が、ことごとく外れてきた歴史があります。

ただ、一つだけ「事実」として言えることがあります。

金利は上がっています。しかし、まだ今は「序の口」の水準だということです。
変動金利1%前後というのは、過去の日本の金利水準と比べれば(バブル期には6〜8%台)歴史的にみてもまだ低い部類です。そして今後も、複数のシナリオがいずれも「さらに上昇」を指しています。

価格についても、建築コストの高止まり・都心への需要集中・海外マネーの流入という構造的な上昇要因は、今も変わっていません。

これらの事実だけを切り取れば——
「今は、確かに相対的に見て不利ではない局面にある」とは言えます。

ただし、それはあくまで「条件の一つ」に過ぎません。本当に今が買い時かどうかは、お客様のライフプラン・収入・家族の状況・何のために買うのかによって、まったく答えも変わります。

つまり

「今が買い時か教えてください」という問いへの正直な答えは、
あなたにとっての買い時を、一緒に考えさせてください」です。

 

買い時かどうかはお客様と一緒に考えたいBESTHOUSEです。寒い日と暑い日しかなくなりましたね。温度差が激しいです。皆様、体調を崩されないように。それでは♪

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の不動産購入・投資を推奨するものではありません。金利予測は各機関の見通しを参考情報として紹介しており、将来の金利水準を保証するものではありません。不動産の取得に際しては、ご自身の状況に合わせて専門家にご相談ください。