「売った後も住み続けられる」の落とし穴

皆様こんにちは♪
今回は、先日お客様から相談を受けました「リースバック」についてお話します。

老後資金に不安をかかえる方にとっては「自宅を売っても、そのまま住み続けられる」と聞くと、魅力的に聞こえますよね。
実際にリースバックは、正しく使えば、住み替えや建て替え、相続前の資産整理にも役立つ有効な選択肢です。
ただし近年、「契約したあとで家賃が上がり、払えなくなった」「相場よりかなり安く売ってしまった」といった相談が増えているのも事実です。

まずそもそもリースバックとはどんな仕組みなのか?
簡単に言うと、自宅を売却して現金を受け取り、そのあとは毎月の家賃を払いながら同じ家に住み続けられる、というものです。
国土交通省も消費者向けのガイドブックを公表しており、住み替えや建て替え資金の確保を目的に、高齢者世帯を中心に利用が広がっています。

似た言葉に「リバースモーゲージ」というのがありますが、これは自宅を売却しないで、担保にしてお金を借りる、というまったく別の仕組みです。
リースバックは「売って借りる」、リバースモーゲージは「売らずに借りる」この違いを最初に押さえておきましょう。

リースバックのメリットとしては、

・まとまった売却資金が手に入ること
・固定資産税や修繕費の負担が契約によっては不要になること
・引っ越さずに賃料を払うことで住み続けられること

といった点が挙げられます。ここまでは確かに魅力的。でも問題は「その先」にあります。

国民生活センターが2025年に公表した注意喚起によると、リースバックに関する相談は近年増加傾向で、契約当事者の約7割が70歳以上の高齢者。
寄せられた相談内容は様々ですが、トラブルの本質はおおまかに3つです。

最も多い1つ目が、家賃の値上げと契約の打ち切りにまつわるトラブルです。
「ずっと住み続けられる」と説明されていたのに、しばらくして家賃を一方的に引き上げられ、生活が立ち行かなくなるケース。
また、賃貸借契約の種類が「定期借家契約」の場合は契約期間が決まっており、期間満了で住み続けられなくなることもあります。
さらに所有者が別の第三者に転売して貸主が変わると、新しい貸主から再契約を断られる可能性もある…。
「住み続けられる」という言葉が、どんな条件のもとで・いつまで成り立つのかを確認しないまま契約すると、あとで問題になります。

次に2つ目が、売却価格の問題。リースバックの場合、売却価格と毎月の家賃はセットで設定されます。
事業者にとって都合のよい条件で進められてしまうと、市場相場をかなり下回る価格で自宅を手放してしまうことがあります。
「現金がすぐ手に入る」という安心感の裏で、本来得られたはずの数百万円を失っているケースは少なくありません。

そして3つ目が、強引な勧誘です。相談事例で目立つのは
「何時間も勧誘され続けた」「断っても別の担当者が何度も来た」といった、心理的に追い詰めて契約させるパターン。
「今契約しないと損をする」という言葉で判断する時間を奪われると、冷静な比較検討ができなくなります。
急かす相手ほど、いったん立ち止まって冷静に考える必要があります。

こんな感じで読むと不安になってしまうかもしれませんが、誤解しないでくださいね。
リースバックという仕組み自体は合法で、使い方次第では役に立ちます。

国の機関がガイドブックを出しているのも「禁止すべきもの」だからではなく、「正しく選べば有益だから、判断材料を整えましょう」ということです。
住み替え先が決まるまでの一時的な資金が必要な方、相続対策として生前に自宅を現金化しておきたい方、固定資産税や修繕の負担から解放されたい方には、
向いている選択肢と言えます。大切なのは「リースバックが良いか悪いか」ではなく、
あなたの状況に合っているかどうか、そしてそれを見極めるための判断軸を持てているかどうかです。

契約書に署名する前に、最低限これだけは確認しておきましょう。

– 売却価格は相場と比べて妥当か(複数の業者・査定で比較したか)
– 賃貸借契約は「普通借家」か「定期借家」か、契約期間は何年か
– 家賃の値上げ条件は契約書に明記されているか
– 更新・再契約の条件はどうなっているか、断られる可能性はないか
– 将来買い戻したい場合、その価格と条件は決まっているか
– 毎月の支出を含めた長期の収支計画は成り立つか
– 説明をしてきた事業者は、1社だけになっていないか

上記のひとつでも
「説明されていない」「よくわからない」項目があれば、
それはまだ契約すべきタイミングではないというサインです。
しっかり確認してください。

ここで特に注意したいのが、自宅を不動産業者に売却する契約には、宅建業法上のクーリング・オフが適用されないという点です。
訪問販売のように「やっぱりやめます」と後から白紙に戻すことは、原則としてできません。
つまりリースバックは、契約してからでは取り返しがつきにくい取引です。
だからこそ勝負は契約前の比較検討にあります。急かされても、その場で判を押さないこと。これが最大の防御策です。

そして何より、ひとりで抱え込まないでください!
リースバックの契約は売買と賃貸借が組み合わさっていて、とても複雑なのです。
提案してくる事業者は「売る側」でもあるため、その説明だけを聞いて判断するのは危険です。

「そのまま売却する」「住み替える」「リバースモーゲージを使う」といった複数の選択肢を、
利害関係のない第三者の専門家と一緒に並べて比較するだけで、本当に自分に合った道が見えてくるはずです。

「これは契約していいものなのか?」「もっと良い選択肢はないのか?」そんなご相談がございましたら、
いつでもお立ち寄りください。お客様の状況を一緒に整理して、最適解に導くBESTHOUSEです。

※本記事は国民生活センターおよび国土交通省の公表資料をもとに、一般的な情報として作成しています。
個別の契約内容については、契約書と専門家への確認をお願いします。